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野良犬になった女(※オープニング)
作者 桜葉 遙
私が、こなたを好きになったのはいつなんだろうか?
柊かがみは人が生きる人生の中で針の先にも満たない1年前のことを、思い巡らせていた。
学校生活は何が起こるか誰も予測できない、もしかしたら神様にも予測できないんじゃないのかな。
かがみの人生にも予測できない出来事が訪れた。
こなたとの出会いだ。
かがみの妹のつかさを介して紹介されたのがきっかけだった。
今と比べれば、出会った当初はものすごく緊張した、口元が痙攣して活舌が悪かった。
妹にはいつものハキハキとした喋り方は? とニヤニヤされながら妹にからかわれたものだ。
最初は共通の趣味探しからスタートした、しかしこなたはかがみがあまり知らないタイプである“オタク”だった。
ずいぶん苦労した。
かがみはゲームやライトノベルが大好きだったが、踏み込んだ知識があるわけではない。
こなたと付き合うためにどれほど予習・復習したことか。
昼休みに入ると、こなたのクラスに毎日と言っていいほど遊びに行った。
「おぅい〜、かがみんや〜今日のマクロスF見た?」
「マクロス、え? あぁあれね!(何だっけ、初代の方だったかな?)」
かがみの口はいとも簡単に口ごもってしまった。
「今週の18話、シェリル死亡フラグ立ったよね〜、遠藤さんはやっぱ七色の声だね……。
でね、今度のコミケではシェリルの獣姦同人誌が狙い目で、かがみんに買ってきてもらおうかなと思っちゃったりしているんだよね〜」
その後もこなたのマシンガントークは続いた。
間髪無き喋りっぷりは、こなたと同じクラスのみゆきもつかさも唖然とさせた。
でもこなたの話は楽しいの、幸せなこなたの笑みを見るのがかがみの日課になっていた。
毎日が楽しかった……こなたと一緒にいられる毎日を過ごすことができればいいのに。
でも……私が男だったらいいのに、いう思いも日々強くなっていった。
きっかけは突然……つまり一目ぼれというヤツだ。
小学生が高校生の制服を着た感じの体格と年齢が合わない着こなしが、かがみの脳裏を刺激した。
いいや刺激したのはこなたの全てだった。
地面に付く位のすれすれの青い髪、くりくりとした目……でもそれだけでは飽き足らない。
発育がいつ止まったのかわからない身体は服がなくとも、上の毛から下の毛まで想像できるようになっていた。
「どうしたのさ、かがみんや?」
「いいや、ちょっとなんでもないわよ」
「さっきから私の顔なんか見て……その赤面ぷりは百合だ、絶対百合だ!」
「な……! なんでそういう発想に……!」
「こなちゃん、お姉ちゃんは女なんだよ」
「もしかしたら、かがみさんが好きな人がこなたさんと似ていたのかも知れませんね」
もう抑えきれないくらい胸の鼓動は躍動していた、誰か止めてほしい……! この鼓動を!! こなたと一緒にいるとモジモジする身体のむずがゆしさが収まることは無かった。
◆
こなたは突然有無を言わす時間も与えられず、腕をかがみに完全固定されたまま一方的に校舎裏に連れて来られていた。
もう夕方、一日の三分の一を学校のために浪費させられた部活や帰宅部の生徒が、お祭り騒ぎを起こしはじめていた。
今日は金曜日、二連休がもうすぐ待っているから余計なのだろう。
「こなた、これ皆がいないところで渡したいの……」
最初は誕生日プレゼントを渡されただけだった。
でもこなたからするといささか、明日の誕生日パーティーで渡せばいいのにと思われても仕方ないだろう。
次第にこなたがかがみの口息が荒いことに気付いた。
「どうしたの? 何だか息が荒いよ? これじゃあスクイズの主人公だよ」
「し……仕方ないでしょ……緊張しているんだから」
「まぁ、なんだ……かがみんも私の貸したストパニに刺激されたんだね」
こなたが冗談を言っても、間が埋まることはなかった。
沈黙の間。
沈黙が続いても、右往左往するように何かを発音したがっているかがみの口が口元の筋肉が小刻みに痙攣させている。
こなたは一息吐き、肩の力を落とした時だった。
「私はこなたの事が好きなのよ!! 性別関係なしで!!」
かがみは何を取り除いたひざに手をつきながら、息を整えていた。
逆にこなたはかがみの告白を聞いて目を右往左往していた。
何かのフラグか? とこなたが聞き返してもかがみは赤面するばかり。
「そうか……」
こなたはかがみを見ても視線をなぜかかわされてしまう。
かがみはずっとうつむいたまま、こなたを視界から締め出していた。
締め出したのはいいが、返答は無い。
考えているのだろうか、判断に迷いが生じているのだろうか……いろいろな返答例が過ぎていく時間と共に重くのしかかった。
すると、こなたが話しかけた。
「私の事そう思っていたんだ……別に私はかがみの事を意識しているつもりはなかったんだけど……」
「そうか……やっぱり私じゃダメなのかな」
こなたも言われて言葉を詰まらせる。
二次元は二次元、今生きているのは三次元。
付き合えないことはかがみもわかっていた、二次元だったらこういう光景もOKだろう。
だが、ここは日本という現実の世界。
でもかがみは朝起きてから夜寝る間に化粧鏡と目が合うたびに、自分の気持ちをはき続けてきた。
やはり、自分の気持ちにうそはつけない……。
「かがみん、でもそういう思いを持っていたなんて私も付き合いがいがあるもんだよ」
学が無いこなたにとって、相手を傷つけない言い方を考えた精一杯の慰め方だった。
◆
こういう結末になることは、かがみの頭に思い浮かんでいた。
彼女にとって、こなたの言葉は精一杯相手を思いやったことはつくづく感じていた。
でも結局は断られたことにかわりはない。
変わりなかったのだ……。
ただ脱力感が残ったまま、ベットに全体重を預けて大の字になった。
部屋のサッシ窓から、ふと見ると孤独にも筋雲も無くただ三日月が一つ浮かんでいる。
自分との心境を重ね合わせてみた。
三日月も孤独、受け入れられなかった自分も孤独。
でも月に雲がかかれば孤独ではなくなる、かがみも人生を歩んでいる限り絶対に一人で生きていくことはできない。
「でも、こなたが私の傍にいるのと変わらないんだから……」
むなしくてたまらなかった、わかっているのなら何で言っちゃったんだろう。
かがみは眠れず、机の引き出しに視線を移した。
ベッドの重力に引き込まれている身体を無理やり起こすと、そのまま机に向かった。
秘密の花園を開く鍵を鍵穴に入れた。
「こなた」
開けると、アルバムが数冊にメモリーカード、そして黒光りが重量感を漂わせる一眼デジカメが姿を現した。
そっとかがみは濡れティッシュで手を簡単に拭くと、アルバムをそっと開いた。
私の好きなこなた……。
そのアルバムは“こなたしか”写っていなかった、いや他の被写体が写ることはかがみにとって許されることではなかった。
被写体が映ればトリミングするか特殊なソフトで編集するか、それでもできなければ失敗作となった。
裏表紙が姿を現すまでずっと“こなただけ”の写真だった。
どの写真もこなたの若々しく、白く光沢感のある腕。
他人からすれば身体は今から成長期だろうと誰もが予測できる程の成長程度。
しかし、こなたの視線が向けられている写真は無かった。
校内での更衣室の着替え、家のシャワー、スカ−トの下……。
丁寧な字で日付、場所、撮影した時間が秒単位まできめ細かく記録されていた。
一番のシーズンはプールの授業での着替えのときだ。
こなたが躊躇無く全裸になってくれて、なおかつ隠れながら盗撮するときと比べて、堂々としたアングルが撮れるという絶好のシチュなのだ。
スクール水着が脱衣され、裏布から陰部が姿を現す瞬間が撮影できた時は、一生の運を使ったと思い脱力感に浸ったときもあった。
その脱力感はすぐにやり遂げた気持ちと共に、身体が火照ったような気分へと変化した。
それほど、私はいやらしい女なのだ。
世間にそういう目を持たれてもいい、どうせこの感覚は誰にもとめられないのだから……。
かがみは、アルバムから写真を選りすぐるようにして眺めていた。
さてと……どの写真が私の慰めモノになってくれるのかしら……。
小さじ一杯程度の白い粉が入った袋を、引き出しから取り出した。
見かけは普通の砂糖にしか見えず、少しこぼれた粉が写真のこなたの肌を白くさせそうな感じだった。
かがみはベビーパウダーを塗るようにやさしく撫でながら、舌を白化粧にさせてみた。
「ずっと、あなたの事を見てるからね、こなた」
夜はまだ始まったばかりだ。
(続く?)
作者のあとがき
ブログで予告していた通り、「らき☆すた」の二次創作です。
とりあえず今回は試しにオープニングだけ載せてみました、柊かがみんはこのオープニングで変態ぶりをアピール(笑)
したがって、刑事で登場する坂上智代(CLANNAD)や殺し屋で登場するブレアさん(ソウルイーター)はまだ登場していません。
※ちなみにブレアさんは、かがみんと「中の人つながり」なので登場させたいなあと思いました。
この話は「うつ☆すた」シリーズや「ゆり☆すた」シリーズから着想を得ました。
今回のかがみんは盗撮癖と百合を併せ持った変体さんです。
そこから麻薬の乱用が始まると、猟奇殺人鬼としてパワーアップします。
例)殺した死体をこなたと見かけを同じようにするために死体改造するとか (L5=ヤンデレ)
かがみの他に、こなたを守ろうとするセガール補正を持った坂上智代や、利益のためにかがみを利用しようとするみゆきさん&ブレアの陰謀という三つ巴を描きたいなぁと。
※影で智代の好感度がアップするような小説にするのが目標だったりする。
時間があれば、投稿していきたいですが、進路やバイトが忙しく難しいですね。でも頑張ります。
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