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Gリーグ 外伝           第二章 夢ノート

                                                     作者名    79ers                 



 高校最後の大会に敗退し、寮に戻ってきた3人。
「ねえ、これからどうする……」
 そのうちの1人、水無 灯里は、口を開いた。
「うん……そうね。一応あるにはあるけど……」
「私も……」
 水無 灯里の問いかけに、烏丸 ちとせ、苗木野 そらの二人はおもむろに返事をする。

 その場にいた2人は、机に座り、勉強していた。
 ノートに鉛筆を走らせ、出された紅茶に口をつけながらも必死に格闘していた。

 3人とも心の中には、明確な将来のビジョンを作り上げていた。
 だが、それぞれが他の2人に遠慮し、そのビジョンを語ることはできなかった。
 しかし、卒業してしまえばこの3人はバラバラとなり、そのことを語ることもできなく
なってしまう。
 それまでには、語りたいという気持ちも心に抱えていた。



 再び膠着状態に陥った3人。
 その膠着状態の中……

 ビリッ!
「ねえ……それぞれ紙に書いて見せっこしない?」
 灯里は、ノートを破り、2人に渡した。
 お互いに口に出せない夢の話。
 紙に書くことなら出来ると灯里は考えた。

 カキ、カキ……ビリッ!
「出来ましたわ」
「出来たよ」
 ちとせ、空は一旦、勉強を止め、ノートに鉛筆を走らせ、破りとった。



 カキ、カキ……
「私も出来ました」
 灯里も同じ様に、破り取ったノートに鉛筆で書き込み、裏にした。
 それぞれ3人にとっての夢を描いた「夢ノート」。
 それが出来上がった。

 3人がその紙を持って向き合う中……
「よ〜し! 一斉に出すわよ!」
 ちとせが声をかけ……

「「それっ!」」
 パッ!
 3人それぞれ持っていた紙を表にする。
 そして、その紙に書かれていたのは……
「セリエAプレーヤーになる 水無 灯里」
「レイラさんと同じピッチでプレイする 苗木野 そら」
「ギャラクシーエンジェルズの一員となる 烏丸 ちとせ」
 という言葉。
 3人ともサッカーを辞めるつもりはなかった。

 確かに国内のGリーグへのチャンスは限りなく小さくなっていた。
 だが、海外に渡ればべつ。
 海外なら国内の実績は関係ない。
 全てを無にして実力で勝負するつもりだった。

 だが、海外に挑戦する為に、語学は必要不可欠。
 その為、学校が国際校であることを生かし……
 灯里はイタリア語、そらは英語、ちとせはスペイン語と……
 それぞれ暇を見つけては勉強に励んでいた。



 受験勉強の様に嫌々やらされる勉強とは違い、必要に迫られてやる勉強。
 それだけに、習得には時間はかからなかった。

 ちとせと灯里は日常会話は普通にこなせ……
 そらにいたっては英字新聞を読み、英語で議論が出来るところまで至っていた。

「やっぱり、みんな考えてたんですね」
 紙を表にしながら、灯里が笑顔で話しかけると……
「えへへ……」
「まあね……」
 そら、ちとせも笑顔で返した。

「でも、何でそんな夢になってるの?」
 そらが2人に尋ねると……
「ねえ、灯里のから聞かせてよ」
 ちとせが灯里に声をかける。
 ちとせとそらが見つめる中……
「分かりました。お話ししますね」
 灯里は少し恥ずかしそうに、自分の夢について話始めた。



                                              (続く


作者のあとがき




                                              


                            ホームへ    スタジオ・メインページへ    戻る(No.1スタジオへ)   前の話へ   次の話へ  

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