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Gリーグ 外伝      第四章  烏丸ちとせの夢  

                                                     作者名    79ers                 


烏丸ちとせ。
 ポジションは攻撃的MF。
 相手の守備陣に対し、自らドリブルで切りこみ、自らゴールを奪いにいく。
 そんな相手守備陣を一気に置き去りにするスピードと技術。
 相手を吹っ飛ばす様なパワフルなプレイ。
 まさに能力で相手をねじふせるサッカースタイルが特徴だった。



「私……夢というより、そのために生まれてきたから」
 ちとせは、紅茶に口をつけながら、前にいる水無 灯里、苗木野 そらに話し始めた。 



「私は父親から『スペインでプレイするために生まれてきた』って言われ続けて来たの。 

 小さい頃からスペインリーグのビデオを見せられて……
 実際にサッカーをするにも『スペインリーグではこうするんだ』って……
 ことあるごとに口を開けばスペインリーグの話ばかり。
 余程、スペインリーグに思い入れがある父親だったんだなって。



 そんな父親に影響されたのか。
 私もスペインリーグに興味を持つようになったの。
 特に、スペインを代表するレアルマドリードとバルセロナの対戦。
 クラシコと呼ばれるこの対戦にはいつも深夜であろうが見ていたの。



 蛙の子は蛙って言うけど。
 父親が見ていくうちに、私もすっかり虜になってしまったの。

 後ろを向きながら、ヘディングで後ろにパスを出したり……
 空中での華麗なオーバーヘッドシュート。
 流れる様なワンタッチでのパス回し。
 まるでサーカスをしているかのようなスーパープレイの数々。
 それが試合中どんどん出てくるんです。


 そのうち、私そう思うようになったの。
 『私もスペインでこんなスーパープレイをやってみたい』って……

 それで小学校3年生の時から行動を始めたの。
 どうやったらスペインリーグでプレイ出来るか。
 白い巨人とか、銀河系軍団とか、呼ばれているレアルマドリッドと同じピッチでプレイ
するにはどうしたらいいか。
 まず夢の為のしっかりとしたイメージを作る為に徹底的に情報を集めたの。



 その結果、こんなことが分かったの。
 レアルマドリッドのあるマドリッドには、『ギャラクシーエンジェルズ・マドリード』と
いう名の女子チームがあって……
 スペインの女子リーグでも強豪で、常に優勝争いを展開してるの。
 その力はスペインだけに止まらず、ヨーロッパ全体から見ても上位に入っていて。
 毎年行われるヨーロッパNo.1を決めるヨーロッパ選手権でも常に優勝候補に入って 
るんだって。
 そして、私は決めたの。
 この『ギャラクシーエンジェルズ』の一員になるって。 
 白いユニフォームに袖を通してプレイするって。



 だから、小学校の頃からスペイン語の勉強はしてきたし……
 しっかり代理人を選んで、スペインでプレイするために交渉をお願いしてるし……
 バイトをして、スペインで1年間ぐらい生活できる資金を貯めたわ。
 親も応援してくれるし……
 私『ギャラクシーエンジェルズ』でプレイするまで日本に帰らないつもりよ」



 ちとせは目を輝かせながら、力強い口調で夢を語る。
 強引な突破が特徴のちとせ。
 だが、その裏には、綿密な計算と計画に基づいている。
 剛と柔どちらも兼ね備えた行動をちとせはとっていた。



「へえ〜やっぱり最初からギャラクシーエンジェルズのテストを受けるの?」
 ちとせの話を聞いていた水無灯里が身を乗り出す様に尋ねる。
「う〜ん。やっぱり日本で実績がないからいきなりは難しいって代理人の人が言ってたわ。
だから、2部のチームや3部のチームのテストを受けて、そこに入って実績を作ってから
チャレンジするつもり。世界的にも有名なチームだから、簡単には入れないわ」
 ちとせは、灯里に答える。



 難しいのは百も承知。
 だからこそ、チャレンジしたい。
 ちとせは夢を語りながら、夢への闘志を燃やしていた。




「大変な道のりね。頑張ってね」
「うん!」
 そんなちとせの言葉を聞いていた苗木野 そらが握手を求め、ちとせはそれに応じた。
 ちとせの前にそびえ立つ強固な壁。
 でも、ちとせならきっと越えられる。
 いつも相手の守備陣を強引に突破するように。
 話を聞いていたそらと灯里は、ちとせが夢を叶える姿を頭に思い描いていた。



「さて、そらさん。今度は貴方の夢について話してくれない?」
 ちとせは、ふとそらに話を振った。

「私はね……」

 灯里、ちとせと話終り、最後の1人となったそら。
(レイラさんと同じチームでプレイしたい) 
 少し考えた後、そらはその夢について話始めた。
 2人に負けない大きな夢の話を。


                              (続く)


作者のあとがき




                                              


                             ホームへ      スタジオ・メインページへ    戻る(No.1スタジオへ)    前の話へ   次の話へ

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