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Gリーグ 外伝        第三章  水無灯里の夢

                                                     作者名    79ers                 


水無灯里。
 ポジションは守備的MF。
 チームの主な役割は、主に攻守の繋ぎ役を担い、常に中盤で動き回り……
 相手陣内にボールを供給してきた。
 そんな灯里の夢は「セリエAプレーヤー」になることだった。

「それじゃあ、お話しますね……」
 ちとせとそらが見つめる前でその夢について語り始めた。



 遡ること私が小学校2年生の頃……
 テレビで海外のサッカー中継を見ていたの。
 親がね、深夜のサッカー中継をビデオに入れて見ることがあったことから、その横で私
も見ていたんだけどね。
 その試合が凄い幻想的に見えたの。
 ピッチ上では、選手が体をぶつけあって、ポジション争いをやりながら、華麗なボール
捌きで、ゴールを狙っていく。
「ゴールを奪いに行くぞ!」
「ゴールを絶対守るぞ!」
 そんな両者の強い気持ちのぶつかりあうのがピッチから伝わってくるの。

 それにね、観客席ではその試合を盛り上げようと、観客が趣向を凝らした様々な応援を
やっているの。
 観客席全体を覆う様な大きな横断幕を広げたり……
 旗を一斉に振ったり……
 観客もサッカーが本当に大好きという気持ちが伝わってくるの。



 それでこれは何なのって聞いてみると……
 ミラノダービーって教えてくれたの。
 イタリアのミラノを本拠地にする2チームの対戦。
 イタリアの中で最も盛り上がるカードの一つなんだって。



 それを聞いて、私思ったの。
 このイタリアでサッカーが出来たらどんなに幸せかって……



 だがら、私決めたの。
 イタリアに行っト、セリエAプレーヤーになる。
 それでミラノダービーが行われているサンシーロスタジアムでプレイするって……


 灯里は目を輝かせながら、夢を2人に語った。
「じゃあ、卒業したらイタリアに行くんだ……あてはあるの?」
 そらは、灯里に尋ねる。
「う〜ん。特にないけど、ACミランのテストがあるから、それを受けるつもり。
それで駄目ならその時はその時……」
 灯里は、笑顔でそらに声を返す。

「灯里さん……ちょっと楽観的過ぎですねえ」
 ちとせがおもむろに灯里に、釘を指す。

 灯里にとっての短所。
 物事を楽観的に捕え過ぎてしまうこと。
 それだけに、失敗した時のことを考えていない。
 過去、それで周りが苦労したことも何度かあった。
 それで大失敗をしないかどうか、つぐみは心配だった。

「まあ、いざとなったら日本に帰ってくればいいわけですから、大丈夫ですよ」
 バンッ!
 灯里は笑顔を浮かべ、胸を叩いた。



(まあ、大丈夫よね)
 つぐみは笑顔で、灯里の笑顔を見つめていた。

 灯里は短所がある反面……
 常に前向きに捕えて、笑顔をチームに振り撒くことを忘れなかった。
 チームはその笑顔で何度助けられたことがあった。
 きっとイタリアでも大丈夫。
 そう思わせる様な笑顔だった。



「じゃあ、今度はちとせさん。お願いね」
 そして、灯里は、その笑顔で、ちとせに声をかける。
「分かりました。えっと……」
 夢を書いた紙を手に取りながら、ちとせはふと話を始めた。



                                          (続く


作者のあとがき




                                              


                             ホームへ      スタジオ・メインページへ    戻る(No.1スタジオへ)    前の話へ   次の話へ

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